子どものよくある病気とその対策

病気の名前

感冒(かぜ症候群)

ウイルスを主とした病原性微生物が、鼻やのどの粘膜に感染することで炎症を起こします。鼻水、せき、のどの痛みにくわえ、発熱やだるさといった全身の症状がでることもあります。
ウイルスに対する特効薬はなく、たんを切る薬などの対症療法を症状に合わせて行い、水分補給をして安静にすれば、ほとんど自然に治ります。

気管支炎・肺炎

のどの奥の気道(気管・気管支・細気管支)に病原体が感染し炎症がおきた状態です。原因にはウイルス(RS、インフルエンザなど)、細菌(肺炎球菌、ヒブ感染症)、マイコプラズマなどがあります。
発熱やせきが長く続く場合は、胸のレントゲンや血液検査などを行い診断します。治療には、病原体に応じて抗生物質やせき止めなどの薬を使用しますが、重症の場合は入院治療が必要になることもあります。

クループ症候群

のどの奥の喉頭が腫れて空気の通り道が狭くなり、呼吸が苦しくなります。犬やオットセイの鳴き声のようなせきをするのが特徴でしょう。
多くの場合数日で治りますが、悪化すると進行が速く、医療機関を受診し、吸入やステロイドなどの治療を受ける必要があるでしょう。

中耳炎・副鼻腔炎

かぜなどに伴い、細菌やウイルスが、鼓膜の奥や鼻腔のまわりの空洞で炎症を起こし、鼻水・鼻づまり・耳痛などを起こします。
特に小児の場合は構造上、これらを合併しやすい傾向にあります。そのため、鼻水などの症状がある場合は、必ず耳や鼻の診察をし、抗生物質や鼻の薬を使用して治療します。また、鼓膜の切開や副鼻腔の洗浄など、耳鼻科での処置が必要になることもあります。

気管支ぜんそく

ダニやほこり、カビや動物の毛などに対してアレルギーを持っているお子さんに多く、気管支が刺激されて粘膜がむくみ、空気の通り道が狭くなるため、息を吐く時にゼーゼーします。
気管支を広げる吸入薬などで治療しますが、予防がとても重要で、ロイコトリエン受容体拮抗薬(オノン・キプレス・シングレアなど)の内服やステロイドの吸入などを行います。また、部屋の掃除や寝具類の管理などに気を付けることも重要です。
詳しくはアレルギーのページを参照ください

ウイルス性胃腸炎(ロタウイルス・ノロウイルスなど)

吐き気やおう吐ではじまり、水溶性の下痢が1週間ほど続き、発熱や腹痛、だるさが起こります。特にロタウイルスやノロウイルスによるものは症状が激しく、ロタウイルスの場合は、便がクリーム色から白色に変色し、酸っぱい臭いを伴うことが特徴です。
この間、食事はとれなくても水分補給をして脱水状態にならないようにすることが重要。水分としてはイオン水などが理想的ですが、少量ずつこまめに与えるようにしましょう。
ロタウイルスに関しては、乳児に限りワクチンによる予防ができます(予防接種のページ参照)。

インフルエンザ

インフルエンザウイルス(A型・B型)による感染症で、冬の流行が顕著です。
症状は高熱、せき、のどの痛み、関節痛、つよいだるさ、頭痛など。肺炎を合併することもありますが、最も重症な合併症は脳症で、意識障害やけいれん、異常行動などを起こします。
従来の検査は症状がでてから半日以上たたないと判定できませんでしたが、当院では当日でも可能な検査機器を導入しています。
抗ウイルス薬で治療しますが、予防接種や手洗い・うがい・マスクによる予防が重要です。

突発性発疹

生後6カ月から1歳前後の赤ちゃんにみられる症状です。38度以上の高熱以外にはあまり症状がなく、熱が3日から4日続いた後、自然に解熱していきます。発疹が広がるのはこのときで、おなかや背中、顔などが典型です。
機嫌が悪くなったり便がゆるくなったりしますが、3日くらいで発疹も消え、やがて元気になるでしょう。基本的に薬による治療は必要ありません。

溶連菌(ようれんきん)感染症

溶血性連鎖球菌に感染するとのどが炎症を起こし、のどの痛みや発熱、吐き気、舌の表面がブツブツとイチゴの様になるなどの症状がでます。体にかゆみを伴う小さな発疹がでることもあります。
治療は抗生物質を10日ほど内服し、菌をたたきます。しっかり治療しないと腎臓の病気やリウマチ熱、アレルギー性紫斑病などを引き起こすことになります。
また、繰り返し感染する可能性もありますので、治ったからといって油断は禁物です。

プール熱(アデノウイルス感染症、咽頭結膜熱)

夏のプールの時期に流行することが名前の由来ですが、プールに入らなくてもうつります。アデノウイルスが原因で、高熱が4日から5日続き、のどの痛みや頭痛を訴えます。また、白目が赤く充血し、めやにがでることがあります。主症状がなくなっても2日くらいは学校や園を休む必要があるでしょう。

夏かぜ(手足口病・ヘルパンギーナ)

手足口病の場合、手のひら、足の裏、口の中、おしりや膝に発疹や水疱ができます。微熱を伴うことが多いようです。
一方のヘルパンギーナは高熱になることが多く、のどの奥に痛い口内炎のようなものができます。
いずれの原因もエンテロウイルス属といわれる仲間のウイルスで、主に夏の時期、乳幼児の間で流行します。特別な治療は必要ありませんが、口の中やのどの痛みから食事や水分がとれなくなることがありますので、脱水にならないよう注意が必要です。

水痘(みずぼうそう)

水痘・帯状疱疹ウイルスに初めて感染したときに起きます。2週間ほどの潜伏期期間が過ぎると、発熱と同時に赤い発疹がでて、中心部に水疱を持つようになります。次第に破れてかさぶたになるのですが、水疱があるうちは感染力が強いです。
かゆみを抑える塗り薬や抗ウイルス薬などにより治療します。
すべての水疱がかさぶたになれば登園・登校ができます。ワクチンにより予防も可能です。

おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)

ムンプスウイルスに感染して発症します。両耳の下にある耳下腺(唾液をつくる組織)が急に腫れて痛み、同時に熱を出すこともあります。両側が腫れることも多いです。
腫れは1週間程度で引きますが、まれに髄膜炎(ずいまくえん)や難聴、男子では精巣炎などの合併症を起こすことがあります。
発症後5日以上が経過し、かつ全身状態が良好になるまで学校や園には行けません。ワクチンにより予防ができます。

はしか(麻疹)

かぜの症状が現れた後にいったん熱がさがり、再び発熱します。このとき、からだ中に赤い発疹が広がります。口の中には白く細かい斑点がでます。発疹は暗赤色で1個1個がくっついて大きくなるものもあります。
対症療法以外に治療はありません。肺炎などを合併すると非常に重症化します。
発疹が消えてから3日間は出席停止です。最近ではかなり減ってきた疾患ですが、ワクチンにより予防ができます。1歳を過ぎたら早めに混合ワクチンを受けましょう。

ふうしん(風疹、三日ばしか)

発熱と同時に細かい発疹が頭部から体、手足へと広がり、耳の後ろのリンパ節が腫れます。3日程度でよくなることから三日ばしかといわれます。最近では、成人の発症が増えています。
妊娠初期に妊婦が感染すると、胎児に先天性風疹症候群(白内障、難聴、心疾患など)をきたすことがあります。
発疹が消えるまで出席停止です。ワクチンにより予防ができます。1歳を過ぎたら必ず早めに混合ワクチンを受けましょう。

とびひ(伝染性膿痂疹)

夏場に多く、虫さされ・あせも・すり傷などをかき壊すことで、黄色ブドウ球菌や溶連菌などが皮膚に感染しておこります。
ジュクジュクした水ぶくれが広がります。治療はシャワーでしっかり洗い、抗生物質を内服したり、軟膏を塗ったりします。
伝染力が強いためタオルやシーツは共用しないようにしてください。

水いぼ(伝染性軟属腫)

ポックスウイルスによる皮膚の感染症です。発疹は小さく中心部に水を含んでいます。
患部を触った手や、共有したタオルなどを経て感染します。自然に治りますが、数カ月から数年と時間がかかります。
治療はピンセットでつまんで取る、液体窒素で処置をするなどですが、事前に痛みを抑える局所麻酔のテープを張ると痛みが少なく取れます。

りんご病(伝染性紅斑)

ヒトパルボウイルスB19が原因です。発症する1週間くらい前にかぜのような症状がでることがあります。頬がりんごのように赤くなり、手足にレースの網目模様のような発疹が見られます。
発熱はなく、本人も元気です。この時点で他人にうつることはなく、発疹も自然に消えます。特別な治療の必要はありません。
ただし、妊婦が妊娠初期に感染すると流産の原因になることがありますので、注意が必要です。

RSウイルス感染症

主に冬から春にかけて流行します。赤ちゃんから大人まで何度も感染し、かぜに似た症状がでますが、特に1歳前後の赤ちゃんがかかるとかぜだけではなく、せきが強くなり、呼吸がゼーゼーして苦しくなることがあります。
気管支の先が炎症により狭くなると、酸素吸入や点滴が必要となり、入院治療を行うことがあります。
現在は、早産児や心疾患を持つ乳児に対してのみ予防の注射(シナジス)が認められています。

じんましん

蚊にさされたように皮膚が赤く盛り上がり、一つ一つがくっついて大きく腫れることがあります。かゆみを伴うことが多いです。数時間で消失し、場所を変えて出現します。多くは数日で治まりますが、数週にわたり慢性化することもあります。
食物や薬剤などが誘発しますが、原因がはっきりしないケースも8割に上ります。
かゆみが強い場合は、かゆみ止め(抗ヒスタミン薬)を内服します。

熱性けいれん

38度以上の発熱の際に、急に手足を硬直させ、意識障害を伴うけいれん発作を起こす場合があります。多くは2分から3分で自然に治まります。
1歳前後に発症し、小学校に上がるころには起こさなくなりますが、発作が度重なるようであれば、抗けいれん薬の坐薬(ジアゼパム ダイアップ)を用いて予防します。

百日咳

百日咳菌が感染して起こります。最初の1週間くらいはかぜのような症状です。次第にせきが強くなり、顔を赤くしてコンコンとせき込み、その後ヒーっと息を吸い込むという特徴的なせきを繰り返すようになります。
特に小さな赤ちゃんは重症化するため注意が必要です。最近は成人症例も増えています。
ワクチンで予防が可能な疾患ですので、しっかり予防接種を受けましょう。

マイコプラズマ感染症

肺炎を起こす菌の一種で、子どもから大人まで、健常な人でも感染リスクがあります。
潜伏期間は2週間から3週間で、発熱、せきなどが出現し、次第にせきが長引きます。比較的状態は良くてもX線撮影をすると肺炎になっていることがあります。
マクロライド系の抗生物質が有効ですが、最近は耐性をもつ菌も増えてきているようです。

川崎病

代表的な症例は、5日以上発熱が続く、両目の白目が充血する、唇や口の中が赤くなり舌がいちごのようになる、体に発疹がでる、手足の先がかたく腫れる、首のリンパ節が腫れるなど。原因は不明ですがうつりません。
まれに心臓を栄養する血管(冠動脈)にこぶをつくることがあり、心筋梗塞を起こす原因になります。
通常入院してアスピリンや免疫グロブリンなどによる治療を行います。

鼠径ヘルニア(そけいヘルニア)

腹膜が太ももの付け根(鼠径部)につきだし、その中に腸などが飛びだす病気です。100人のうち1人から4人くらいの割合で発症します。
腫れているところは柔らかく自然に戻ることが多いのですが、飛びだした腸が戻りにくくなると緊急で手術が必要になることがあります。

腸重積(ちょうじゅうせき)症

腸管の中に腸管がめり込む疾患です。生後6カ月から2歳までに多く発症します。
突然不機嫌となり、腹痛やおう吐、血流障害によりイチゴゼリー状の血便を認めます。
肛門から液体や空気を入れて腸を戻しますが、回復が認められない場合は緊急手術を要します。

臍ヘルニア(でべそ)

赤ちゃんの俗に言うでべそで、臍帯(へその緒)のあったおなかの壁の穴が閉じないために、泣いたりして腹圧がかかったときに腸管が飛びだして、さらにおへそが盛り上がります。
大きなものでも約9割は、2歳くらいまでに自然と治ります。

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